はじめての動物倫理学

はじめての動物倫理学

残りは第6章のみ。最終章までまとめたら、あまりにも膨大な量になってしまったため、各章ごとに切り出して整理したところで完成としたい。

この投稿は、整理をしながらアップしているためまだ完成していません。都度、整理をしつつ完成後にはこのメッセージは消去します。また整理しながらも、私自身の考えも大きく変わったり、大きく振り戻したりしている感覚は自分でも持っているので、すべてを整理したうえで、最後に諸々改めて少なくとも自分の意見として一貫性を確立し(自己満足であったとしても)、事前に記入している内容を訂正等行い、最終更新としたいと思う。

目次

本を読む以前の問題として

私だけとは思わないが、ある程度の年齢を重ねた人は、自己保身や自分の精神的平穏を保つ為に自分の(少ない)知識や、経験則(に基づく生存者バイアス)、酷い場合にはニュースや人伝に聞いた噂だけが根拠になっている論理展開などをしがちだ。

そのような先入観や固定観念を持った状態で読むと内容に対する拒絶が起こり、学びある読書にならなくなってしまうと感じ、何度か読み直しをした。まぁそれでも難しい話だと感じたのが正直な感想だ。

おおよそ世界の大部分は倫理とはかけ離れた形で成立してしまっているのが現実ではないのだろうか。例えば、本書で出てくるようなベジタリアンやヴィーガン(の一部の人々)は非常にラディカルな形で肉食そのものを批判し、時には暴力性すらも露わにして他へ強要をしようとしている。

ほかにも、毎月のようにメディアを賑わせる環境活動家達は、文化財や個人・法人の所有物にペンキをかけたり、車道の封鎖をして膨大な数の人々に迷惑をかけたりしているわけだ。そのような人達の「印象」が強烈に残っている一般人が、なぜかそのような活動や主張をする人々から倫理について説教をされるわけで、正直意味が分からない。

いや、もちろん倫理学そのものの追求の結果と研究結果としての(本人の中での)明確な根拠を持って主張をしている人達と、俗にいう「活動家(activists)」を一括りにするのも雑な話であることは十分承知しているつもりではあるが。

話がそれてしまったが、やはり動物倫理と聞くだけで「胡散臭い」とナチュラルに感じてしまうのは私の不徳の致すところだろう。本を読みながらも、一言一句に何かしら文句を言いたくなるような衝動にかられながら読み進めるという難易度の高い読書となってしまった。

また「文章を理解する」ことと、その「文章に納得する」ことがこれほどまでに乖離しながら読み進める機会というのもあまりなかったように思う。やはり前提条件となる「倫理観」を私が持ち合わせていないことが理由なのか、倫理学の「り」の字も理解していないという知識不足が招いているだけなのかはわからない。今後も勉学をすすめつついずれかのタイミングで再度読んだ時にはもう少し腑に落ちる内容なのかもしれない。

以下、本書の目次の流れにおおむね従いつつ感想や意見を述べていきたい。

第一章 なぜ動物倫理なのか

第一章はなぜ動物倫理なのかというタイトルでスタートしている。私と同様に、動物倫理、あるいは哲学や倫理といった領域の勉強を全くしたことがない場合にはここでしっかりと単語や文章の運びに慣れていくことをお勧めした。

本書の内容の土台となるようなものになるので、さっぱりわからないという状態で進んでいくと、たぶん読書の途中で本を投げつけたくなる衝動に駆られる可能性もあるので、よくわからないがとりあえずこの心に波風が立つ感情との向き合い方くらいは習得したうえで読み進めるべし。

第一章に関しては、第二章以降の内容の理解を少しでも容易にするための事前知識をまとめているような形だ。そのため倫理学全般の話や倫理学の成り立ちのような話が主となっているため、難しい内容になっている。

倫理学は、内容そのものが難しいというよりもどのように物事を理解すべきかという問いに対する明確な回答が出せない点において、モヤモヤっとした話のように感じてしまう。

いや、出せないと言うよりも人や文化、性別や成長環境などによって違う答えに行き着いて然るべき倫理規定のみを持って、法規定の拠り所としているような話にはならないのか些か不安になるのは私だけだろうか?

第二章 動物倫理学とは何か

第二章は、動物倫理学とは何か、を紐解いている章だ。応用倫理学の一つである動物倫理学の成り立ちや歴史的な対立する主軸となるような考え方の説明が行われている。

現代の動物倫理学は現代の動物倫理学は科学の進歩と人口増加に伴う動物利用の増加を受けて、伝統的な動物観を再評価し、倫理的な観点から問題提起をしようとしていると考えられる。同時に、これらの問題的に伴う動物と人間の関係における倫理的な問題を浮き彫りにし新たに考えるきっかけを作ろうとしているようだ。

カントやデカルトの哲学の説明を経て、現代の科学と哲学は、人間と動物との間に存在する共通性を認識し、動物の権利と倫理的配慮に関する議論を促進し、人間と動物の違いを誇張せず、科学的事実に基づいて倫理的な立場を構築することが重要としている。

また第二章では、デカルトやカント、シンガーなどがあっちこっちに繰り返し出てきて確立した論理を引用されるわけだが、ついていくのが大変である。真剣に学ぼうとしている人は、名前と主張を一覧にして読書をした方がよい気もする。また

私にとってはフランシスの論理展開はここを読むだけではいまいちよくわからなかったのだが、前提として「所有権を持っているものは権利主体であるから物ではない」と「動物は現在は所有物として扱われている」があった上で、その所有権を動物そのものに認めることによって動物は権利主体である」という論理の確立をしようとした、と認識している。

またこの本において最後まで出てくる功利主義、義務論、徳倫理学もこの章で説明されているのでしっかりと理解するべし。

第三章 動物とどう付き合うべきか

第三章は、動物とどう付き合うべきか、というタイトルだ。ここでは動物福祉や動物権利といった一段と複雑で理解しがたい内容が述べられている。また、人間側にも倫理的実践を「やるべき」といい前提で色々と話が展開される。

「人間が為すべきこと」であるという大前提がある前提での読み物となるため、「動物の権利」「動物倫理」に懐疑的であるならば建設的に読むには難しい。本の読み手としてのフォーカスと努力が求められる。

さらに話は、肉食のための畜産に多くのフォーカスをおいて、その畜産業が引き起こす環境問題を紐づけて肉食行為への批判を展開している。本書においては肉食の問題から畜産、畜産に関する環境問題、畜産から発生する環境汚染、畜産に携わる人々の労働環境や移民問題、薬物使用と環境汚染、パンデミックとの紐づけと、大きく戦線を拡大させた印象。

一方で、動物実験のセクションについては、このセクションは、言わんとしていることは理解できる点が多いのだが、動物倫理は倫理という線引きで善悪の線引きをし可能な限りの悪をしない形を求めようとしているものの、その主張の多くはあまりにも無責任であると感じる点が多い。

ダイバーシティのように社会的な圧力として企業が応える必要性が生まれるような状況を作る必要があるが、それはそれで強いバックラッシュが発生するリスクもある。仮に動物実験をすべて代替できる方法が確立できたとしても、企業としては倫理観を根拠にそっちにプロセスを移管するわけではなくあくまでもコストメリットがあるから行うと考える方が間違いないはずだ。

さらに議論は、動物園や水族館、大型類人猿、さらには昨今日本でも熊で大きな話題となっている野生動物の狩猟や駆除、コンパニオンアニマル、さらには動物性愛といった話題にも話を展開している。

第4章 人間中心主義を問い資す

第四章は、人間中心主義を問い資す、というタイトル。

何度も繰り返されてきた「動物倫理学は応用倫理学の一部で、規範倫理学の方法論を使用している」「動物倫理学の主要な立場として功利主義、義務論、得倫理学がある」という前提から始まる。動物倫理学の中心テーマが「動物の権利」でありそれを根拠づけているのは義務論。動物の権利を擁護するというのは、動物も動物同様の権利主体であると考えていることや、動物利用が動物の権利を侵害していると考えていることについて述べられている。

またキリスト教の人間中心主義が環境破壊と動物搾取の背後にあると問題提起をしつつも、キリスト教と環境破壊の関係を歴史的・哲学的な視点から考察し、特に環境問題の解決には生活様式の変革が必要であると述べられている。

最後に、人間中心主義が持つ両義性に焦点を当て、規範的な価値概念としての否定と、事実概念としての認識から導かれる適切な規範について論じている。

第5章 環境倫理学の展開

第五章からは環境倫理学に話が展開している。動物倫理学の本を読みながら、頻繁に環境への影響の話が出てきていたので、ここで環境倫理学の話が入ってくるのはさもありなんという感じではある。ここではそのような話への導入として話が展開されている。

またレオポルドの土地倫理やキャリコットが環境倫理学において「個体論から全体論へ」の主題に焦点を当て、動物倫理学における独自性と土地倫理の重要性について言及する。この語、自然の道徳的権利や個体数調整の問題などからディープエコロジーに関する話題へと移っていく。

第6章 マルクスの動物と環境観

商品化を批判する論理

自然的存在としての人間

労働による代謝と循環

生産力の制御による持続可能性の実現

マルクスの人間観にある落とし穴

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