ペットと人の共生社会を実現するビジネスモデル(S-1アカデミー提出)

本文は提出した書類よりも段落分けや改行を増やして読みやすくしている。また見出しなども実際の書類には存在していない点は留意してほしい。

目次

問題の背景

ペットと人の共生社会(以下、共生社会とする)の実現にはそれを主たる存在意義として中心的役割を担う組織(以下、中心組織とする)が不可欠だ。本質的に共生社会の実現とは、少数派の飼育者が多数派の非飼育者に共生社会の受容を要望することである。これは社会的マイノリティーが人権的側面から権利を要求することとは異なり、飼育者が自らの選択で飼育するペットとの私的な共生生活を公共の共生生活として非飼育者と社会に受け入れてもらう活動だ。必要なのはペットと飼育者の権利主張ではなく、非飼育者の主張を理解し不満や不安を取り除いてゆく地道なプロセスとなる。中心組織が取り組むべきことは、非飼育者の理解と協力を得るための仕組み作りと飼育者の意識改革を促進するビジネスモデルの構築である。

ペット飼育者とペット非飼育者の大きな意識の乖離

私が考える問題のひとつは、飼育者と非飼育者の間にある意識の乖離だ。

アイペット損害保険株式会社が実施した調査に、犬の飼い主と犬と一緒に暮らしたことのない人を対象に「犬飼い主のマナーに関する調査」というものがある。この調査では、犬の飼育者が「非飼育者への配慮が出来ている」と回答した割合が約87%に対して、非飼育者が犬の飼育者に対して不満がある割合は約65%とその乖離が顕著だ。非飼育者から犬の飼育者への不満には「マナーの悪さ」と「配慮の欠如」が多く、非飼育者のうち「犬が苦手」と回答した割合が約45%もいた。さらに、犬の飼育者でも「犬を怖いと感じたことがある」と回答した人が約64%もいたのだ。これは単に飼い主が犬を散歩に連れて歩いているだけで、すれ違う非飼育者の半数近くの人が不快感をしめしている可能性を示唆している。

この結果からも飼育者と非飼育者の溝を埋めることは容易ではないこと、また共生社会実現を目指すためには飼育者が非飼育者の気持ちや考えを正しく理解する必要があることは明白である。全世帯の約80%にあたる非飼育者の理解や協力なくして共生社会の模索は困難であるし、全世帯の約20%となる飼育者だけが求める社会の姿をもって、共生社会とよぶことはできないはずだ。非飼育者にとっては共生社会について考える動機も必要性もないのだから、社会変化を強制的に受容するよう迫られると拒絶反応が出てしまうのは自然なことである。

CACCとは

ここでは、無駄にカッコつけようしてあまり意味のないことをグダグダと書いてしまっているためここを公表するのは最高に恥ずかしい。適当に読み飛ばしても最終的な理解にはあまり違いは生まれないと思うので読んでいて「こいつ何言っちゃってんの?」となったお方は、申し訳ないがスキップしてほしい。

私は、共生社会実現のために「飼い主の責務」「事業者の責務」「社会の受容」の3つのコンセプトと、これらを一つに連結するフレームワークを考案し活用したい。以下にフレームワークの詳細と3つのコンセプトについて整理する。
最初に、共生社会実現のためにコンパニオンアニマル・コエグジスタンス・チェーン:Companion Animal Coexistence Chain(以下CACCとする)という新たなフレームワークを発案し、その詳細について説明する。

CACCは、「従業員満足」「顧客満足」「企業収益」の3つが良い循環を作ることを示したサービスプロフィットチェーン(以下SPCとする)を参考にしたフレームワークである。SPCは、従業員満足が従業員の生産性を高めることで顧客満足が向上し、顧客満足が企業収益や事業成長を促進する、そして事業成長がまた従業員に還元されるというサイクルを表すが、CACCは「飼い主の責務」「事業者の責務」「社会の受容」の循環が共生社会実現に向けた意識改革と行動変容を促すサイクルを表す骨子だ。

  • 飼い主は、飼育者としてペットと社会の接点を再認識し、ペットが人間社会のルールやマナーに準ずる責任を負うと共に、共生社会に資するサービスや商品を利用・購入することによって、それらを提供する事業者を支援する。
  • 事業者は、中心組織が目指す共生社会の受容に必要なルール設計や取り組みを参考にし、共生社会実現に向けた意識改革や行動変容を促すサービスや商品を開発・提供し、飼い主の更なる責務遂行を支援する。
  • 社会の受容は、非飼育者が主体であるから、中心組織は非飼育者が共生社会や飼育者に対して持つ不満や不安を把握し、それらを解消するルール設計を行う。また非飼育者がもつ不満や不安を事業者に共有しビジネスのアイデアとして利用を促す。

以上のサイクルのようにCACCを活用すれば、非飼育者の意見を反映した共生社会の実現に向けて、ペットと飼育者を中心としたペットコミュニティとしての姿勢を社会に示し、日本社会が共生社会を受容する礎を築くことができるはずだ。

以下にCACCのサイクルにある「飼い主の責務」「事業者の責務」「社会の受容」それぞれに中心組織が展開すべきビジネスアイデアを整理する。

飼い主の責務

一つ目は飼い主の責務についてである。日常生活の中でペットと常に共にあり共生社会実現に最も大きな役割を担うのがペットと飼い主だ。飼い主としての責務とは、ペットの躾、ペット特性・特徴の理解、正確な科学的根拠に裏打ちされた獣医療の一般知識、非飼育者の主張の理解、共生社会に求められる飼い主のマナー習得、共生社会実現に取り組む事業者のサービス利用・商品購入・慈善行為による支援などだ。

共生社会が実現しても、あらゆるペットの行為に責任を持つのは飼い主であることに変わりはなく、既に民法718条にもペットが他人に加えた損害を賠償する責任は飼い主が負うと明記されている。共生社会実現と共に民法718条が改定されるとは考えにくいが、共生社会が実現している社会においては親が子の公共の場におけるマナーに責任を負うように、公共の場におけるペットのマナーの責任を飼い主が負うことになる。

現在でもペットの全ての責任は飼い主が負っていることに変わりはないが、共生社会下でペットと人間の接点が増えれば増えるほどペットと飼い主に向けられる視線は厳しいものになるのは想像に容易い。人間社会においては子供だからしょうがないと振る舞う親が一定数存在するが、施設内や交通機関の中で吠え続ける犬を「犬だからしょうがない」と振る舞えば社会の受容は遠のくだけだ。

「飼い主の責務」領域において、中心組織はペットに対してのトレーニングではなく、飼い主が「飼い主の責務」を果たすために必要な内容を盛り込んだ教育プログラムおよびサポートの提供をビジネスモデルに組み込むことが重要である。また、トレーニング対象が全国の飼育者となるため、中心組織は(仮)認定ペット共生トレーナー(以下、共生トレーナーとする)の認定制度を設け全国の動物病院やドッグトレーナー、ブリーダーやペットショップ、動物愛護団体や動物保護施設など、活動に賛同してくれる法人・個人会員を募集し、各地域において教育研修の実施可能な体制を速やかに構築することも重要だ。

CACCの共生トレーナーは、飼い主へのトレーニングを行うトレーナーだ。それは一重に、共生社会実現には飼い主の意識と知識の向上が必要不可欠であるからだ。CACCは共生トレーナー制度を通じて、共生社会の主役を育てる飼い主のトレーナー役を担うのである。また中心組織はロビー活動を通じて全ての飼育者が共生トレーナーからの講習受講を義務とするように政治に働きかけることも必要だ。

事業者の責務

二つ目は「事業者の責務」についてだ。ペット業界に関わる事業者のホームページを見ると、その大半には動物との共生に関わる文言が社是やスローガンに掲げられている。大いに素晴らしいことだが、実際の事業内容やサービスと照らし合わせると共生社会実現への活動に直接関与する事業には成り得ていない場合も多い。

事業者の責務とは、現在の共生社会から未来に向けて変える、または変わる必要のあるものごとに直接働きかける事業を行うことだ。つまり、共生社会実現に直接的に影響を与えるサービスや商品の開発、またはそれらに取組む他の事業者や個人・団体への協力および慈善行為の提供を通じて、経済循環のみならず共生社会を支える意識循環を担うのがペット業界に関わる事業者としての責務となるのだ。

既に事業者の責務を積極的に果たしている事業者は枚挙にいとまがない。例えば、ペット関連事業者で売上の一部を動物保護シェルターへ寄付する行為は、ペット関連事業からあげた収益を動物保護シェルターの運営資金や施設維持費に循環させている。ペット業界が生みだした負の要素を業界の責任として対応する姿勢は事業者の責務そのものである。

このような事業者は、積極的にペット業界内における経済循環を啓蒙し、またその行為を周知させることによって「飼い主の責務」からの支援を得ることが望ましい。また事業者の責務には意識循環の支援も含まれる。意識循環とはこれまで意識してこなかった共生社会実現に資する行為の連鎖を実感することであり、事業者はこの連鎖を実感できるサービスや商品を提供する責務を担うのである。

「事業者の責務」領域において、中心組織の役割はCACC基準での優良事業者選定と、それを消費者に伝える仕組みの提供だ。中心組織はアイコニックな(仮)共生社会推進ロゴを用意し、情報登録を通じてロゴ利用を希望する事業者を集める。優れた共生社会推進内容を登録した事業者には取材を行い、中心組織が運営する情報発信ツール(WEBサイト・フリーペーパー・ソーシャルメディアなど)を用いて社会へ周知するのだ。

社会の受容

CACCサイクルの三つ目は「社会の受容」である。

社会の受容を導き出すために、まず飼い主の責務と事業者の責務が相互依存の関係を作り上げることが重要だ。事業者は共生社会実現に向け飼い主にとって有益なサービス、商品、慈善行為を提供し、飼い主はそのような事業者のサービスや商品を意識的に選択する関係性である。

前述のアイペット損害保険株式会社の調査によると、非飼育者が犬の飼育者にもつ不満のひとつには犬の糞尿の放置がある。ペットの糞尿の後始末は飼い主の責任になるが、この責任を果たさない飼い主がいた場合にその後始末は地域コミュニティの清掃ボランティアや清掃業者が担うことになる。

仮にこの後始末をペットコミュニティ内で処理できるとすれば、その地域の非飼育者の一部からは飼育者が望む共生社会に賛同する人が現れるに違いない。要するに、共生社会実現のために非飼育者の受容を要求する前に、ペットにかかわる諸問題は飼育者の間で解決する姿勢を示すことが望ましいのだ。共生社会を推進したい飼育者自身が他人任せではない態度を示すことなく社会の受容を獲得することはできないのである

中心組織は、これら「社会の受容」に資する取り組みを公に情報発信し、ペットコミュニティの活動を非飼育者に認知してもらう必要がある。また、それらの発信情報に興味を持つ非飼育者には積極的に接触を試み、飼育者や共生社会に対する不満や不安を受け付ける窓口業務も担うことが重要だ。窓口に集約される情報を事業者に共有し、新たなビジネスの源泉として活用してもらうことが可能となる。

糞尿の後始末アプリ

アプリ名をしっかり考える必要性が無かったため、わかりやすく目的を名前に入れているだけで実際にこのようなものを作る場合には、アプリ名は十二分に検討し、しっかりと命名すべきである。

以下に、これまで述べたCACCサイクルとアイペット損害保険会社の調査にあった非飼育者の不満項目「糞尿の後始末」にフォーカスしたビジネスアイデアを具体的に述べる。

糞尿の後始末は、ごく一部の飼育者が散歩の時に発生する糞尿を放置することに起因するが、ペット飼育者全体に対する印象を大きく損ねる最たる原因の一つだ。

中心組織は、この不満を解消する施策として非飼育者が地域の登録飼育者に糞尿の位置情報を共有出来る広告収入モデルのアプリを開発する。登録者ターゲットはペットの糞尿放置に日頃から不満を感じている非飼育者と、共生社会実現のため「飼い主の責務」を示す行動をとりたい飼育者となる。

非飼育者は日常生活の中で、ペットの糞尿放置を発見した際にはアプリで位置情報を共有し、共有された位置情報は周辺の登録飼育者へとプッシュ通知される。通知を受け取った登録飼育者は、自分のペットと散歩にゆくタイミングに当該位置情報地点を経由し放置された糞尿の処理をする。処理をした登録飼育者はアプリ上にて処理が完了した旨の登録を行えばポイントが付与される仕組みだ。

ポイントは一定数蓄積すると商品交換やサービス利用に活用できる設計が必要で、中心組織はペット業界内外の事業者に「事業者の責務」としての協力を依頼することになる。

このアプリには3つの利点が存在する。

まずは、地域のペットに係る問題をペットコミュニティ内で解決を図る意図が見える点だ。共生社会実現に不可欠な「社会の受容」にはペットにかかわる人や事業者コミュニティでの取り組みが必要だ。

もう一つの利点は、共生社会実現に向けた伴走者の獲得だ。アプリの登録利用者には共生社会実現を強く志す共通目標があるのは明確だ。登録者属性が明確な場合、広告主募集や事業展開、情報発信の方向性も明確となる。中心組織はこのアプリで登録者を得ることで事業基盤を強化し、また同時に共生社会実現への強力な味方を獲得することができる。

最後の利点は、アプリポイント交換の対象となる商品やサービスの無償・有償提供をしてくれる事業者に円滑な(仮)共生社会推進ロゴを提供可能とする点だ。以上のようなビジネスアイデアを実現すれば、飼育者と非飼育者双方の意見を十分に取り入れた共生社会を実現することが可能となる。

以上見てきたように、ペットと人の共生社会を実現するためには、目的が明確な中心組織がCACCフレームワークを活用したビジネスモデルを実践し、社会からの信頼を勝ち得ていく必要があるのだ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (2件)

コメントする

目次