茨城県動物指導センター見学

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茨城県動物指導センター

2024年4月25日(木)晴れ。

今日は以前から訪問をしようとしていたがなかなかタイミングが合わずに訪問がかなわなかった茨城県笠間市にある動物指導センターを訪問することになった。株式会社HUMOの営業部からも一名(T氏とする)同行することになり、私とT氏の2名で訪問した。

東京の方から行く場合、電車の場合は常磐線かつくばエクスプレスに乗って茨城方面に向かい、乗り継ぎをしながら笠間に向かう必要がある。スケジュールの調整上の問題で、車での訪問が難しくなってしまい前日に現地集合ということで話が進んだ。のんびりと電車に乗って移動するのもたまには良いだろう。

茨城県の動物愛護に関する話題を調べてみると、ソーシャルメディア上においてはだいぶ以前のセンターの対応に関する批判のようなものが多くヒットする。それからだいぶ時は経ちセンター側の体制や方針も大きく変わっているように思われる。

また茨城県の動物愛護に関する話題にはいくつかの良く名前の挙がる団体があるがその中の一つ、CAPINさんは以前に一度現地に訪問し、シェルターの見学をさせていただいたことがある。

賛否がある団体としても名前が挙がることも多いようだが、活動に対する賛否ではなく情報発信の内容や方向性などに関するものだと個人的には認識している。CAPINを訪問した際にお話ができた方々(全員とお話をする機会もありませんでしたが)や軽く挨拶を交わした方々、皆さん良い人達でした(語彙力)。

多分、動物愛護にかかわる人達は、民間や行政にかかわらず目指すゴールにそう大きな違いはないと思っている。ただ、そのために必要になる前提条件や予算、人員、その他それらを行った場合の機会費用などの情報量の差によって、結果的に生じる選択肢の違いに認識違いや齟齬があり、結果批判などにもつながっているのだろうと考える。

では、全てを納得の上、または妥協した上での合意をした上で荒波立てずに物事を進めようとするのが良いかといえばそんなことはない。理想を高くおくがゆえに現状に満足せず、その要求を常に高めていくことは重要なはずだ。限られた税収の中で予算で地域や生活に係る諸問題を解決する必要がある茨城県行政側にとっては、本来であれば比較するべきではない物事についても常に天秤にかけて優劣の判断が求められるわけだ。より人間に関わる事柄に予算が優先されるのは仕方がないことであり、そのような状況下においても少しでも多くの予算が動物愛護に配分されるように訴えかける手段としてCAPINさんのような団体は意図的に語気を強めているのだろう。(私の勝手な感想だが)

いずれにしても、私としてはペットバレーの方針としてどこかに与することなく、自分たちが正しいと考える方向に向けて活動をし、また情報発信をしていくつもりだ。そのうえで協力ができる部分においては相手を選ばずに協力の提供、および依頼をしていきたいと考えている。

笠間市の位置

さて、茨城県笠間市の動物指導センターは、東京側から見るとちょうど筑波山の裏側の方向にあり、石岡市の北側、水戸市の西側に位置している。電車を乗り継ぐこと2時間弱で笠間駅に到着した。予定よりもだいぶ早く到着してしまったので駅周辺を見回してみたが周辺に商店街のようなものはなく広いロータリーがあるのみだった。

どうやって時間をつぶそうかと周辺を散策すると喫茶店のようなケーキ屋さんがあったので、動物指導センターに行く前にここで昼ご飯を済ませることにする。店内にはケーキがたくさん並んでいた。日持ちするものではないので時間帯によっては人通りがたくさんあるのかもしれない。

いざ動物指導センターへ

無事T氏と合流したものの、笠間駅から徒歩で動物指導センターに向かうのは難しそうであった。いや、距離にすれば5-6キロといったところなので何とかなるといえばなるのだが、日差しも強いので無理は禁物と判断しタクシーを呼んだ。駅前でもタクシーはまばらだったので、T氏がサクッとタクシーを手配してくれた。さすがは営業マンだ。

車で走ること10分強程度だろうか。思っていた以上に距離もあり、また傾斜のある道を進んでいたので徒歩できていたら大きく公開をしていたに違いないとボーっと考えていたら到着。

敷地は広くここで働く公務員さん達はたくさんいるのか、駐車場は車がたくさん並んでいた。早速中に入って挨拶を済ませる。

職員の方が二人で対応していただき、会議室に通してもらい動物指導センターの役割やこれまでの活動の歴史、茨城県としての現状と問題点などをプロジェクターで資料と共に説明したもらった。都度、こちらからの質疑も交えながら有意義な学びの時間となった。

殺処分を悪として扱うことに異論はないが、何はともあれ殺処分0を目指すのもまた大きなリスクだろう。特に茨城県のように野犬が群れを成す地域の場合は問題はさらに深刻になる。殺処分0を行動の基準としたとしても犬や猫の供給には大きなメスは入っていないわけで、市場にはどんどん新しい犬猫が供給され続ける一方で、殺処分を停止した状況になる。

捕獲・保護される犬猫は、人に慣れている、または子犬・子猫である限りは里親を見つけることにそこまで時間がかからないようだが、ひとたび老犬や病気やケガをしている犬、人に全く慣れていない犬などになると非常に長い時間をかけて世話をし続ける必要が出る。

一方で、動物指導センターに収容されているような犬はほとんど野犬になってくる。動物愛護の人々に言わせると、時間をかければどんな犬も心を開く、となるわけだが何年もかけて行う必要があり、その間にも野犬はその数を増やすことになり、結果、収容数上限を常に差し迫る状況になってしまうようだ。

殺処分0の呪縛

この状況下において、行政側と動物愛護・保護団体側で常に駆け引きが行われることになる。前提として、動物指導センターに収容できる数が限界となってしまった場合は、否応なく殺処分を行う必要が発生するわけであるが行政側も殺処分はしなくない(するわけにはいかない)ので、収容限界を理由に殺処分対象となった犬について愛護団体等へ通達?相談?がされるようだ。「〇月〇日までに犬の引き取り手が見つからない場合には殺処分をすることになってしまう」と連絡を受け動物保護・愛護団体はどうにかこうにかして犬の命を救うために犬の引き取りをしていく…といったような状況になる。(細かい部分には間違いがあるかもしれないので何となくのイメージで理解していただけると幸いです)

このような状況なので、動物愛護・保護団体の人達の批判が行政に強く向く理由は容易に理解できる。行政側は、行政施策として殺処分0を行おうとしているにもかかわらず、その最終防衛線は動物愛護・保護団体に責任を擦り付けるような構図になっているわけだ。

つまり殺処分執行手前で動物愛護・保護団体の人達が必死になって動物指導センターの収容余力を確保するために保護犬達を引き出してくれるが故に、殺処分0が維持できているという理屈になる。

本来であれば、行政側が行政側の予算を使って殺処分0を達成する必要があるはずだし、この一連の動きがそもそもの処理スキームとして絶対に必要なものなのであれば、税金を使ってこの一連の労力と費用を負担すべきなのではないかという話になってくるわけだ。

また保護・収容・譲渡の部分も重要だが、それよりも保護される犬や猫を根本的に減らす取り組みもなかなか進んではいないので、事態に改善の兆しがなかなか見えないのだろう。ペットショップでの生体販売に反対する動きも長らく続いているが、生産をするブリーダーからの直接販売が取って代わるだけなのであればどこまで絶対数としての供給量が減るのかはよくわからない。

また飼育者側も、特定の犬種・猫種、特定の犬種・猫種の特定の特徴(色や耳の形状等)に強いこだわりを持って購入したいという欲求などが価格に影響を与えるという現実を直視する必要がある。特定の特徴をもった犬猫が高く売れるとわかれば、生産者はその特定種を生産するためにたくさん繁殖をさせるわけで、結果的には望まれない命がたくさん副産物として生まれているという状況を作り出すことになるわけだ。

…話が脱線してしまったので、本題に戻りたい。

収容エリア

公務員の人達が働いている場所から反対側に保護・捕獲された犬・猫達のエリアがある。写真の左上のケージが捕獲用のもので、通報を受けた際にこのようなものを使って捕獲を試みることになるそうだ。

ケージの写真の次の写真は、野犬たち。このような感じの区分けがたくさんあり、一緒にいさせても大丈夫な野犬たちはこんな感じで収容され、他の犬を攻撃したりするような犬はまた別のエリアに個別に終了されていた。野犬の収容スペースは広く、中に入ると犬の鳴き声で話し声が全く聞こえなくなってしまうほどの音だ。

また写真では伝わらないと思うが、動物園などでサルがたくさん群れになっているようなものを想像し、それの犬バージョンだと思ってもらえればイメージ的には間違っていないはずだ。

基本的に、引き取り手となってくれそうな人が来た場合や子供の学習目的などでの訪問に際して全面に出る犬というのは人に慣れている犬達だけになる。確かに、野犬達は明らかにその挙動が見慣れた飼育犬達とは異なるので仕方がないのだろう。

殺処分場

もうずっと稼働させていないようだが、殺処分をする場所も見学をさせてもらった。建物の構造的に犬達の収容スペースとはセット運用がされていたようで、収容スペースの奥側が開く仕組みになっていて、殺処分が決まった犬達は収容スペースの奥側に押しやられる形になる。

奥に押しやられた犬達は、この殺処分機につながる一本の廊下に押し出され、そのままこの機械の中に詰め込まれる流れになっていたようだ。機械の中で殺処分されると写真の機械の扉が上向きに開き、死体を右下の穴に向けて落としていくような流れだったのだろうと推察できる。

現在はこの恐ろしい設備をただの飾りとなっていることは本当に喜ばしいことだ。

訪問を終えて

たくさんのことを学ばせてもらった動物指導センターだが、ペットバレーとしては動物取扱業2種取得の関係上、またすぐに訪問をする必要がある。

ちなみにこちらの担当の課長さんは、私の高校時代の同級生だった。(学生数が非常に多いマンモス校だったので双方あまり面識がなかったが共通の友人がいたので間違いない)。

帰りは、動物指導センターの職員の方がわざわざ送ってくれるとのことで、どのみちタクシーを呼ばなくては帰れない私達はお言葉に甘えることにした。ついでに調子に乗って笠間駅ではなく友部駅に送ってもらった。

こちらの駅前も広いなぁ…と。これだけの土地が広い地域であれば広域の保護施設なんかを作ることも難しくないのだろうけど、それはそれで維持費とかがとんでもないことになるのかな。各地に散らばっている保護シェルターや施設を集約するメリットがどこまであるのかは現時点では不明だし、そもそも独立している各団体さん達もそれぞれに考えがあった上での活動だろうから一つにまとまりましょう!って言っても成立はしないのだろうね。

今回の学びは多く、とても有意義な一日となった。ちょっと頭の中での情報整理が追い付いていないので、整理をしつすまた今後のペットバレーの活動方針などにも反映していければよいかなと思う。

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