猫好き獣医コラム「Dr.有希の猫エッセイ」スタート

猫のために獣医になったDr.有希が書く猫のエッセイ。子供の頃から数えきれない猫を飼い、里親を探し、たくさんの猫に接してきたので、その中でも印象深い子達のことを1匹ずつ記事にしていきます。

猫人生のはじまり〜ピーコとの出会い〜

私が小学2年生の時、ピーコがうちにやってきました。父の友人の奥様がミルクから育てた猫、元々へその緒つきで捨てられていたそうです。乳飲み子に毎日2~3時間おきにミルクを飲ませ、それはそれは大変な育児だったと思います。
その仔猫を飼ってほしいと言われ、元々猫好きの父母は(人間の子供も大きくなってきたことだし)猫を飼うことを決意。週末バイクに革ジャン姿で仔猫を連れてきたそのおじ様、どこに仔猫が!?バイクのスタンドを立て、革ジャンの胸のファスナーを開けるとなんとそこに仔猫がいました。今だとそんな猫の運送方法は問題になるだろうけれども、革ジャンから出てきた仔猫のかわいいこと。ちっちゃくてかわいくて。もうその日から私は猫のとりこになりました。

名付け親はもちろん私。でもなぜか「ピーコ」!??ピーコという名は鳥に付ける名前だねと色んな人に言われ、小学2年生の私は動物によって名前のパターンがあるのだと初めて知りました。
今でも初めて生後1カ月程のピーコに出会った日のことは忘れられません。猫に出会った初めての日、私の猫人生の始まりの日。

意地悪な野良猫にやられ…ピーコとの生活がスタート

仔猫はすぐに大きくなるのでピーコの小さい頃の記憶はあまりないけれど、ピーコに腕枕をして寝たこと、ピーコとお風呂に入ったこと、毎晩ピーコのとりあいで弟とやりあったこと、ピーコが野良猫にやられて心配だったこと、本当に沢山の思い出があるなあと思います。
今ではいけないとされている飼い方。外に出して飼うというスタイルで飼っていました。

田舎の住宅地なので家の前は山。春になると桜が満開になる素敵な山なのですが、野良猫もいればヘビやネズミ、ムカデなどの害虫も沢山います。そんな危険な山に毎日ピーコはお出かけ&用を足しに行っていたのですから、もちろん危険はつきものです。生涯に何度かピーコもケガをして帰ってきました。近所のイジワルな野良猫にやられて傷をおい、化膿して獣医さんに連れていくというのがいつものパターンでした。ピーコがよく化膿したのは「きっと初乳を飲んでいないから体が弱いんだねー」と家族で話していました。

獣医師になった今なら、昔のピーコの傷は体が弱かったからひどくなったのではないとわかります。ケンカで引っかかれたり噛まれるとバイ菌が入ってしまうけど、数日は毛に覆われているので気が付かず、時間とともに化膿と炎症が強くなり、熱を持ってドロドロと膿が出てきてようやく気が付く、ということだったのです。
何よりも大事な大事な飼い猫を外に出すということは今では考えられませんが、猫が自然に自由に生きていく姿は昭和の時代の私達には幸せに見えたのだと思います。