犬を飼い始める前に

犬との生活

ふと目が合えば全力でしっぽを振りながら駆け寄ってくる、キラキラした瞳でいつも笑顔を向けてくる。犬はいっしょに生活していると、私たちに元気を分けてくれる存在ではないでしょうか。ただどんなにかわいらしくても、野生の生活そのままではパワーがありすぎて、人と暮らしていくのは難しいですね。人と犬がともに暮らしていくためには、ある程度のルール・しつけは必要でしょう。

古来より、人は犬との共同生活を送ってきました。もともとオオカミの仲間だった、という説もありますが、しっかりと信頼関係を築くことができれば、本来群れで生活する犬はこれ以上ない相棒になったと思われます。

現在も、人と犬との生活で一番大切なことは、信頼関係を結ぶことです。お互いに信頼しあっているからこそ、ルールを伝え教えていくことができるのです。

犬種による違い

一言で「犬」と言いますが、代表的なところでも超小型犬のチワワから超大型犬のセントバーナードまで様々な犬種が存在します。その体格差は一目瞭然で体重を比較すると、優に30倍はあると考えられます。

また、狩猟に向いている犬種(ハウンド種)、牧畜に向いている犬種(コリー種)、ソリ犬、愛玩犬、闘犬など、犬種にはそれぞれ適性があります。それは、人間の生活に役立つように犬種を作り上げてきた歴史があるからです。

現在の日本では、昔のように使役犬として犬を育てる事はあまり多くありません。それでも使役犬として作られた犬種は、愛玩犬として作られた犬種より体力があり、多くの運動量を必要とします。もちろん性格による違いなどはありますが、このような犬種本来の適性を知った上で、その犬種にふさわしい生活を心がけつつ犬を育てていく方が、犬自身にストレスがかかりにくくなります。人と同じで、犬にとってもストレスは万病のもとです。なるべくストレスのかからない生活を送りたいものです。

健康を損ねた時に

どの飼い主さんでも、愛犬の健康を祈っていることは間違いありません。そして、健康を維持したいと考えているのは、かかりつけの獣医師も同じです。そのために、多くの動物病院が予防接種(混合ワクチン・狂犬病ワクチン)やフィラリア予防を始めとした予防医療に力を注いでいます。命にかかわる伝染病もありますので、正しい方法でしっかり予防してください。

また愛犬が幼いうちは伝染病に限らず、フードやおやつ以外のものを誤って食べてしまうことも(誤飲・誤食)、よく見られます。おもちゃや、家族が食べていたアイスのヘラ・焼き鳥の串などを食べてしまい、手術が必要になる場合もあります。人間の子育てと同じですが、愛犬が飲みこめるサイズの物は、愛犬が届く高さに放置しないこと。この心がけが「事件」を減らすことにつながります。

他にも幼い犬や小型犬は、階段などの高いところから落ちたり扉に足を挟めたりして、骨折してしまうこともあります。それ以外にも思いもよらない原因で大きな怪我をすることはあります。こういった「事故」は、ほんのちょっと目を離したすきに起こることが多いので、注意が必要ですね。

ただ、どんなに努力しても防ぎようのない病気やケガもあります。中には一刻の猶予もなくすぐに治療しなければ、命にかかわる場合もあります。それは、不本意ながら誰にでもありうることです。

そんな風に愛犬が体調を崩して治療を必要とした場合、愛犬の体格によって治療費に差が出てくることは、あらかじめ心に留めていただきたい事実です。

つまり、病状に違いがなかった場合、大型犬の治療費は小型犬の治療費よりうんと高くなることが考えられるということです。

残念なことに、私の乏しい経験の中ですら、「治療費が払えないから治療しない」と選択する家庭がありました。飼い主さんにとって、本当に心苦しいことだと思います。最先端の特別な治療までなんでも気軽に受けられるほどの経済力を求めているわけではありません。ただ、愛犬が幸せに暮らすための最低限の治療は受けさせることができる余裕を持っていただきたいと願います。

犬との幸せな暮らしのために

少し厳しいことばかりを書き連ねてしまいましたが、犬を育てるということは命を育てることであり、責任重大です。いったん家族として迎えた以上は、愛犬が天寿を全うするまで責任をもたなければなりません。愛情いっぱいで過ごす毎日が、愛犬にとっても飼い主さん自身にとっても充実した日々となっていくことを願ってやみません。