値段で決めてはダメ!ドッグフードの選び方を獣医師が伝授

 


 
医食同源、食べるものに含まれる栄養素は身体を作ると同時に、栄養素以外の含有物(添加物など)の中には身体の老化を促進したり、病気の遠因になるものもあります。
毎日食べるものだからこそ、ドッグフード選びは動物病院選びと同じくらい注意深くありたいですね。とはいえ、あまり神経質になりすぎるのも病的で、科学的根拠のないリスクを大げさに取りすぎないよう、ドッグフード選びおよび毎日の愛犬への給餌の基礎を大まかにまとめてみようと思います。

犬は肉食という誤解

狼の食性を例に挙げて、ナマ肉食を推奨する説見たことがあるかもしれませんが、厳密にいうとこれは間違いです。犬は狼に確かに似ているのですが違う動物です。また、狼も肉だけを食べていたわけでなく、草食動物の胃の内容物まで含めて摂取して、肉に含まれる以外の栄養素を摂取していたと考えられています。
人に比べるとタンパク質(肉の栄養素)の要求量はかなり多いのは確かなのですが、ではビタミンや微量元素などは外侮からの摂取が不要かというと、そんなことはありません。また、一説にはペットとして犬が捕食をしなくなってから6万年が経過しているという説もあり、消化機能などももはや野犬とも伴侶動物の犬は違うと考えて差し支えないでしょう。
細かい定義にはあまり意味はありませんが強いていえば犬は「肉食よりの雑食」という食性になります。

手作り食やナマ肉給餌の落とし穴

ひところ、ドッグフードには廃棄肉や、病死した家畜の肉などが、薬剤ごと含まれていて危険であるという説を根拠にした手作り色ブームが各地で起こりました。食事が健全であることでなりにくくなる病気がたくさんあることに関しては私も大賛成です。人間も、カップラーメンやファーストフードばかり食べていると肌も荒れて、免疫力も下がりますよね。

ところが、前述の通り、犬の栄養学は、環境に合わせて変化し続けてきたため、人と同じ調子で同じものを与えれば良いというものでもなく、手作り食やナマ肉を中心とした給餌の犬はどうも毛艶が悪かったり、コレステロール値が安定しなかったり、歯周病が深刻であったりといった弊害もブームの余波でたくさん臨床では現れてしまいました。

肉を必要以上に与えすぎてリンとカルシウムのバランスが崩れ、関節の病気になりやすくなったり、手作り色でミネラル欠乏症に陥って慢性皮膚疾患に繋がったりしたのです。

何を与えるのが理想的なの?

ではどのドッグフードが良いのですかという質問に当然帰着するのですが、なんとも歯切れの悪い回答にはなるのですが「万能のフードはありません」が結論です。

当社のドッグフードで病気が治る、うち以外のドッグフードは病気になるといった宗教まがいの商品の触れ込みをやたらと信用しないことです。
腐っている食べ物以上に有害なものはないため、無害と統計学上わかっている範囲で防腐剤はかならず入っています。人もそうですが、全く無菌でなんの添加物も入っていない食事を摂ろうと思うと、そのエネルギーは果てしなく、自給自足するくらいしか方法は取れなくなります。その生活がすべての人にとって健全だとは個人的には思わないので、摂りこまない努力よりも、摂っても解毒する体の機能を高める方がさまざまな意味で健康的です。

そのためにも、必要以上の添加物は与えない、バランスよく原料の産地やメーカを分散する、日頃から適切な量の運動をさせてたくさん愛情を注いで免疫力を維持するといったトータルバランスで食事を考えて行くことが望ましいでしょう。

万能のフードはなくとも、ある程度のクオリティのフードを選び、手作りを与えるなら歯周病予防の指導をはじめに獣医師から受け、定期的な血液検査や被毛のチェックで適宜サプリメントを添加するようにするとよいでしょう。調べすぎると疑心暗鬼になりますが、一つの目安は「値段」になるので(高ければよいというものでもありません)、1kgあたりで1500円前後を目安に、愛犬の便の状態や被毛の状態を観察しながら「その子にとってのベストフード」を見つけていってください。