獣医師が解説! 「ネコに多い病気」自宅でのケア方法は?

人間と同様に猫ちゃんも様々な病気になりますが、かかりやすい病気は人間とは異なっています。ペット保険会社のアニコムによる調査(アニコム家庭どうぶつ白書2015)では、猫に多い疾患は第1位が「泌尿器疾患」、第2位が「消化器疾患」、第3位が「皮膚疾患」です。
今回は、それぞれの病気についての解説と、ご家庭でできる予防やケアの方法について解説します。

【泌尿器疾患】

膀胱炎や尿石症などの下部尿路疾患と、高齢猫に多い慢性腎臓病が代表的です。猫ちゃんは元々砂漠で進化してきた動物なので、水分が少ない環境でも対応できるように、人間や他の動物と比べて水分摂取は少なく、そのぶん濃い尿を排泄する身体構造になっています。猫の尿のニオイが強いのはこのためです。この特徴のために泌尿器系に負担がかかりやすく、猫の泌尿器疾患はダントツで多くなる傾向にあります。

下部尿路疾患の症状としてわかりやすいのは、尿がスッキリ出ないために非常に頻繁にトイレに行く、トイレでかがむが何も出ない、血尿などです。慢性腎臓病は老化とともに進行する病気で、水をたくさん飲んでオシッコもたくさん出す「多飲多尿」や、何となく元気や食欲がない、嘔吐する頻度が増えるなどが代表的な症状です。これらの症状が気になったら、なるべく早く動物病院に相談しましょう。特に尿路に結石などが詰まって尿が出なくなる「尿路閉塞」が起こると緊急事態です。すぐに病院に連絡して連れて行きましょう。

泌尿器疾患を予防し、また症状の再発や進行を防ぐために、ご家庭でぜひ行っていただきたいことがあります。最も大事なことは「水分摂取」です。猫は元々水分をあまり摂らない生き物なので、飼い主が積極的に水分を摂らせてあげる必要があります。いつでも新鮮な水を好きなだけ飲める状態にしてあげることはもちろん、場合によってはウェットフードを活用したり、水が循環して猫の飲水欲を高めてくれる機械(自動給水器、ウォーターファウンテンなどの名称で売られています)を導入したりと、方法は様々です。
それから基本中の基本ですが、常にトイレを清潔に保つこと。旅行など長時間家を空ける時は特に注意しましょう。トイレを複数設置してあげるのが理想的です。

【消化器疾患】

次に多い消化器疾患。嘔吐や下痢が代表的な症状です。飼い始めたばかりの猫ちゃんやお外に出る猫ちゃんでは、回虫症などの寄生虫疾患も問題になります。動物病院では、便や嘔吐の状態を確認し、猫ちゃんに触診や聴診を行い、注射や飲み薬で治療を行います。下痢で動物病院に行く際は、うんちを持っていくようにするとスムーズです。基本的には異常があったら動物病院に相談するのが鉄則ですが、中には食べ過ぎや一気食いで吐いてしまう子、食べ物以外の異物を食べてお腹を壊す子など、おうちで予防できたであろう症状が多いのも消化器疾患の特徴です。留守番や慣れない環境でのストレスで症状が出る子も少なくありません。普段から猫ちゃん本人にも胃腸にも過大なストレスを与えないように注意し、また、特に異物を口にするクセのある猫ちゃんは、対象物を徹底的に遠ざけましょう。異物による腸閉塞では手術が必要になるケースもあるので、注意が必要です。

【皮膚疾患】

アレルギーによる皮膚炎、細菌や真菌による皮膚炎、寄生虫疾患などが代表的です。動物病院では触診や視診、また皮膚表面の細胞を採取などして診断します。猫ちゃんでのおうちでの様子が診断のヒントになることも多いので、必ず、普段の猫ちゃんの様子をよく知っている人が病院に連れて行きましょう。特徴的な仕草がある場合は動画を撮っておくのもおすすめです。

寄生虫による皮膚疾患については予防や駆虫を徹底的に行うこと、細菌や真菌による皮膚炎では処方された薬を正しく服用することが必要です。特にノミ予防は基本中の基本なので、完全室内飼いの猫ちゃんでも忘れずに行いましょう。

アレルギーの場合は、検査をした上でアレルゲンになるべく触れないような生活を心がけることになります。特定の部分を掻きむしっている場合、エリザベスカラーや洋服で対処したり、遊びやスキンシップで気を紛らわせてあげたりするのも効果的です。
ひとことに皮膚疾患と言っても原因によって対処法が異なるので、気になる症状があればまず動物病院に相談するようにしましょう。

今回は、ペット保険会社のデータをもとに上位3疾患を決定したので、「動物病院にかかる件数」の順にご紹介しています。もちろんこの他にも、猫ちゃんがかかりやすい病気は多々あります。(病院にかからないから分からないだけで、本当の1位は「肥満」かな、と個人的には思います・・・)大切なのは病気に早く気付いて、早く対処してあげること。定期的な健康診断を欠かさないようにしましょう。